認定NPO法人 自然再生センター

オゴノリング大作戦

中海の恵み「オゴノリ」から生まれる循環を通じて、
持続可能な社会のあり方を見つける

私たちはオゴノリを活用し、かつてあったような「環境」「人」「お金」の循環を再構築することで、中海のもたらす恵みの循環を、持続可能な形で次世代に残したいと考えています。

本事業は2021年度より積水ハウス株式会社の「積水ハウスマッチングプログラム」(環境基金)に採択され、活動を展開しています。

”「わが家」を世界一幸せな場所にする”をグローバルビジョンに掲げる積水ハウスグループでは、お客様、従業員、社会の「幸せ」を最大化するため、従業員と会社の共同寄付制度「積水ハウスマッチングプログラム」を実施しています。(積水ハウス株式会社ホームページより)
積水ハウスマッチングプログラムについてはこちらをご覧ください。

  • 三上 惇二 大根島の農漁業を考える会・株式会社W.L.D 取締役柏木 利徳 “循環のはじまり”中海のオゴノリを刈る 柏木さんは、オゴノリの刈り取りから学生たちとの中海での様々な体験の案内人や、オゴノリを乾燥させ肥料製造も行っています。 船の上で巧みにオゴガキを扱う様子は熟練の技と勘です。 「中海に浮かぶ「大根島」で豊かな農漁業をしたい」という想いから、伝統的な産業オゴノリに注目し、安定した収入に繋がる経済を生み、人が集い、より魅力的な島になっていく。そんな素敵な循環をつくるために、中海を生活の中のフィールドとしてオゴノリを刈り取ります。
  • 倉田 健悟 島根大学 生物資源科学部環境共生科学科 准教授倉田 健悟 オゴノリ刈りが与える中海生態系への影響を調べる 島根大学生物資源科学部環境共生科学科准教授の倉田さんは、中海にあるオゴノリの量や分布を研究することで、刈り取りと生態系のバランスを模索しています。倉田さんは学生の頃から多様な生物が絶妙なバランスで生息している汽水域が好きで、島根・鳥取の出身ではありませんが、中海の研究をする為に島根に来ました。「この研究でこの地へ貢献したい」「中海を知ってもらうきっかけになるとうれしい」という想いを持ち日々研究を続けています。
  • 渡部 敏樹 自然農法園「さかい夢の浜」 農園長渡部 敏樹 オゴノリを畑に蒔き作物を育てる オゴノリング畑部師匠こと渡部さん。オゴノリングの始まるずっと前の約25年前からオゴノリを使った自然農法を継続して続けておられます。オゴノリをどのように処理して、どのような方法で散布するのが良いのかをご自身の農園で実験して、そのデータを蓄積しておられます。オゴノリングでは誰でも取り入れやすいように一番オーソドックスで簡単な方法を指導して頂いています。畑では枝豆とサツマイモを栽培していますが、生育具合もよく味がいいととても評判です。
  • 三上 惇二 農事組合法人エコファームHOSOYA 代表理事三上 惇二 オゴノリを配合した有機肥料でお米を育てる 三上さんは、SDGs未来都市の日南町にある「農事組合法人エコファームHOSOYA」の田んぼで中海のオゴノリを配合した海藻有機肥料を使用しお米を育てています。「循環型で環境にやさしい農業を目指したい」という想いから、このお米ができました。日南町はおいしいお米に適した高地にあり「海と天地のめぐみ米」という商品名で販売され、強い甘みとうまみ、もちもちした食感と風味で全国の食味コンテストで入賞した実績を持ち、料理人からも高い評価を受け、有名ホテルやレストランなどに支持されています。
  • 三上 貴代 パン屋空三上 貴代 オゴノリを蒔いた畑で採れたサツマイモでパンをつくる 三上さんは松江市にある「パン屋 空(くう)」でオゴノリを肥料として使用した畑で栽培されたサツマイモを使ったパンを作っています。「自分にできることで中海・宍道湖のために何か協力したい」という想いからこのサツマイモのパンができました。オゴノリで甘く育ったサツマイモの味を生かしたパンはとてもおいしく、数が限られますが人気の一品です。パンは天然酵母を使い素材と製法にこだわって作られていて、食べると身体と心がうれしくなるようなおいしくてやさしい味がします。
  • 坪倉 菜水/福本 一 コクーン設計舎 代表 天神キッチン 店主坪倉 菜水 株式会社 UNITY 代表取締役福本 一 オゴノリングに関わるヒト・モノ・コトが集う場をつくる 当法人が入居している天神127の大家さんである福本さんと一階で天神キッチンを運営されている坪倉さん。「この場無くしてはオゴノリングは成り立たない」そう言えるほど日々の活力をもらえる場をこのお二人と一緒に作っています。この場があるおかげで様々な人々が集い、コミュニケーションが行われ、その中からオゴノリングにとてもプラスとなるアイデアが生まれています。またこの場でオゴノリングから生まれた作物やそれを使った料理が並び、まちとの接点としても機能しています。
  • 小倉健太郎・綾子・熊楠 合同会社宮内舎小倉健太郎・綾子・熊楠 料理で中海とオゴノリングへの興味・関心につなげる オゴノリを直接扱うわけではないのですがとても重要な役割を担っている宮内舎の小倉ファミリー。当法人が年に数回開催している斐伊川水系の山里川海流域の食材をおいしくいただく「食の会」で料理を作って頂いています。「味わって食べることで身近とは言えない中海やオゴノリのことをとても身近に感じることができる」それを証明するかのように多くの当法人新規会員の獲得にもつながっています。作っていただいている料理は中海の幸の味を生かすだけでなく、目で見てたのしいとても素敵な仕上がりです。
  • なかうみちゃん 公式ゆるキャラなかうみちゃん オゴノリングに関わる全てをサポート 当法人はオゴノリングの主役ではありません。主役のみなさんを陰ながらサポートする存在です。オゴノリに点で関わる人が繋がり線を描き、そして輪となり循環し、強く太く広がっていくことを目指しています。そしてその輪がこの中海だけでなく、山川里海(地域循環共生圏)にも広がり循環することです。写真は中海の赤貝(サルボウガイ)の髪飾りがかわいい当法人のマスコットキャラクター「なかうみちゃん」です。得意なことは出逢った人を笑顔にすることと、中海・宍道湖の幸でお料理することです。

 

かつて、中海ではオゴノリなどの海藻を刈り取り、肥料として畑にまいて農作物を育てたり、良質な寒天の材料としての産業も盛んに行われていました。

しかし、1950年代半ばごろに化学肥料が台頭するようになり、海藻の需要は激減し、農薬の影響で海藻そのものの生息も激減してしまいました。

海藻は、生き物の棲み家の役目も果たす一方で、放置すると枯れてヘドロ化し水質に悪影響を及ぼします。肥料として定期的に刈り取られることで、中海の水質も維持され、栄養価の高い作物が収穫できる、まさに理想的な循環を実現していたのです。

近年になって、様々な環境改善の取り組みによって、中海の透明度が上がり水質が改善されると、再び海藻が大量に繁茂するようになりました。しかし、昔のように海藻を利用する仕組みが途絶えているため、刈り取られない海藻はヘドロ化し水質に悪影響を与える存在になってしまいました

そのような状況の中、私たちはそのオゴノリを活用し、かつてあったような「環境」「人」「お金」の循環を再構築することで、中海のもたらす恵みの循環を、持続可能な形で次世代に残したいと考えており、それが「オゴノリング」です。

具体的には、中海に浮かぶ大根島の耕作放棄地を整備し、オゴノリを投入。大豆やサツマイモといった農作物を栽培し、そこで栽培や収穫のイベントを実施しています。

2019年度からは「畑部」などの部活を創設し、「部員」という形で事業に関わる方が増えてきました。また、栽培した農作物を販売し、購入していただくことで、事業についての周知や参画を図っています。

部活についてはコチラをご覧ください

上記のような企画・運営等を次世代がプロジェクトリーダーとなり、行っています。

なかうみちゃんブログにて、オゴノリングのについて発信しています!
こちらもぜひご覧ください!

★2019年11月にオゴノリング事業(オゴノリ刈り)に参加してくれた松江工業高等専門学校の皆さんが、オゴノリング事業を英語でまとめてくれました!
HOW TO USE REJECTED SEAWEED(プレゼン資料)
英語説明文

この事業は、以下の視点でSDGsを実践しています。This project implements the SDGs from the following perspectives

★2024年12月倉田先生の研究室の博士課程の学生が英訳してくれました。

In the past, seaweed such as Ogonori was harvested from Nakaumi and used as fertilizer to cultivate crops. It also served as a key ingredient in the thriving production of high-quality agar.

However, around the mid-1950s, the rise of chemical fertilizers led to a sharp decline in the demand for seaweed. Additionally, the use of pesticides significantly reduced the natural habitat of seaweed itself.

Seaweed serves as a habitat for various organisms, but if left unharvested, it decays and turns into sludge, negatively impacting water quality. When regularly harvested for use as fertilizer, it helped maintain the water quality of Nakaumi while enabling the cultivation of nutrient-rich crops—creating an ideal cycle of sustainability.

In recent years, various environmental improvement efforts have enhanced the water clarity and quality of Nakaumi, leading to a resurgence of abundant seaweed growth. However, since the systems for utilizing seaweed as in the past have disappeared, unharvested seaweed now decays into sludge, becoming a factor that negatively impacts water quality.

In response to this situation, we aim to utilize Ogonori and rebuild the once-existing cycle of “environment,” “people,” and “economy.” By doing so, we hope to create a sustainable cycle of Nakaumi’s blessings and pass it on to future generations. This initiative is what we call the “Ogonoring”.

Specifically, we are revitalizing abandoned farmland on Daikonjima, an island in Nakaumi, by incorporating Ogonori. We cultivate crops such as soybeans and sweet potatoes and host events for planting and harvesting activities on the site.

Since fiscal year 2019, we have established initiatives such as the “Field Club,” increasing the number of participants involved in the project as “members.” Additionally, by selling the cultivated crops and encouraging people to purchase them, we aim to raise awareness about the project and foster broader participation.

For details about the club activities, please check here.

The planning, management, and other activities mentioned above are being led by the next generation, who take on the role of project leaders.

We share updates about the Ogono-ring initiative on the Nakaumi-chan Blog!  Please be sure to check it out!

In November 2019, students from Matsue National College of Technology who participated in the Ogono-ring project created an English summary of the initiative!

 

 

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